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ワークライフバランスとは

ワークライフバランス

仕事のために生きるのか?

皆さんは「仕事のために生きて」いますか?それとも「生きるために仕事をして」いますか?
このような質問すると、意外にも答えがわかれるのが日本という国です。
というより、頭のなかでは後者だと思っていても、実際の生活を見てみると前者になってしまっている、という人が多いのではないでしょうか。
生活をするために仕事をしなければならないものの、仕事をする以上は人生における大半を仕事に費やさなければならない、というような環境になっていることが多いのが現状です。

このような状況に一石を投じる考え方として昨今注目を集めているのが「ワークライフバランス」というものです。
直訳するのであれば「仕事と生活の均衡」ということになるでしょうか。
仕事と人生、どちらかだけに寄ってしまうのではなく、どちらも重要なものと捉えて良いスタンスで仕事を出来るようにしていこう、というのがワークライフバランスの考え方です。
この考え方も、一種の「ダイバーシティ」として考えられるでしょう。

ただ、前述の通り、日本の現状において「ワークライフバランス」を実現するのは労働者側の努力だけでは不可能です。
そのようなことを行っている会社がまだ少なく、バランスを取ろうと思うと不安定なフリーランスや非正規雇用になってしまうことが多く、泣く泣く生活の方を犠牲にしている人も少なくないでしょう。
このような環境だからこそ、今のうちに企業を「ワークライフバランス」の優れたものへと変革していくことは、他社に対する大きなアドバンテージをることにも繋がります。

では、実際にワーク・ライフ・バランスを導入することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。
このメリットは、「企業側のメリット」と「労働者側のメリット」に分類して考えなければなりません。
両者にとってメリットがあるからこそ、未来がある考え方となるわけです。

両者のメリット

では、まずは企業側に存在するメリットについて見て行きましょう。
まず最初にあげることが出来るのが「優秀な人材」を確保しやすく、かつ定着させやすいということです。
優秀な人材ほど、「自分の人生」を優先させることが重要であることを知っています。
いくら良い給料を支払うとしても、毎日残業働き詰めの場所では仕事をしない、という人材も多く、かつてのようにお金だけで解決出来ないことが多く存在しています。

環境が整っていない、というのは、十分転職の理由となることの1つです。
この会社は自分には合わない、と判断されてしまえば、相手は優秀な人材ですから引く手あまたで、より良い会社へと移られてしまうことも考えられるでしょう。
そもそも就職活動の時点で、考慮の対象から外されてしまう可能性も十分考えられます。

二つ目として考えられるのは「生産性の向上」です。
普通に考えると、社員の生活のことを気にしていると生産性は低下するように思われがちですが、実際には違います。
やはり、私生活も充実し、仕事への活力がある人の方が生産性が高くなるものです。
死んだような目で馬車馬のように働く人を用意するより、人間的な活力にあふれた人が多い会社の方が会社として優れていることは言うまでもありません。

これは同時に「満足度と意欲の向上」へと繋がります。
良い環境が用意されて初めて、人間というのは自発的に活動しようと思うものです。
無理矢理仕事をさせられているような環境で、誰がその企業のためになるようなことを自分のエネルギーを消費してするでしょうか。

よく「ゆとり世代は意欲がない」と言うようなことが言われますが、彼らは今までの世代よりもか「環境」に左右されやすいだけです。
環境を整え、自発的に考えられる余裕と地盤を作れば、他の世代と遜色無く働いてくれる、ということをしっかり理解しておきましょう。
今後の世代を上手く取り込んで会社を発展させていくためにも、ワークライフバランスは重要なポイントとなります。

そして最後に「モラルの向上」を挙げることが出来るでしょう。
人間、余裕がないときには自分以外のことをないがしろにしやすくなるものです。
こういった状態になると、対外的にも問題がある行動を起こしやすくなり、結果的に会社のイメージを低下させる原因へと繋がります。

では、労働者側にとってはどのようなメリットが考えられるでしょうか。
まず、生産性を高めることによって、仕事の時間と私生活の時間を分けて考えることが出来る、ということが重要です。
いくらお金を稼いでも、それを使う時間がないのであれば意味がありません。

そして、この私生活の時間は何もすべて趣味に使わなければならないわけではありません。
自発的に勉強をし、スキルアップを目指していく事もできるわけです。
仕事をしながらでもスキルを挙げる事ができる、というのはキャリアの観点からしても重要な要素の1つとなるでしょう。

そして何より、ストレスの少ない環境で仕事を出来る、ということが挙げられます。
日本はストレス大国であり、同時に不名誉にも世界に冠たる自殺大国でもあります。
自殺者の多くが男性であることからも、仕事からのストレスによって自殺を選んでしまう人が多い、ということが考えられるでしょう。
このようなリスクは、いつ自分に訪れるか分かりません。

では、このワークライフバランスという考え方はどのようにして発展を遂げてきたのでしょうか?
この考え方がスタートしたのは、1980年代です。
この頃はワークファミリーバランスと呼ばれるもので、女性社員に対して育児や介護支援を行うことで、家庭と仕事が両立出来るようにしよう、というものでした。

これが90年代後半頃からワークライフバランスとなり、今度は男性社員も含む全員に対して範囲を拡大、より良い環境を提供することが仕事の効率を挙げるためにも重要である、と考えられるようになっていきます。
00年代を超えた現代においては、これを実際に実現するために、長時間労働の是正などの課題解決へと向かってきているわけです。
まだまだ多くの会社が実現出来ていないからこそ、考えるべきことでしょう。